お取引をお願いしようとしていた方が、ある日大変な事故に遭ってしまいました。 その事故は一時的にではありますが、命の危険もあったほどの事故でした。 普通であるならご自身の身体の事で精一杯のはずですが、その方は折角の取引で迷惑をかけてしまったと、そのような状態にも係わらずその病床で私たちの事を気使っていてくれたのでした。
先日、様子を伺いに出向いた時の事、 その方の奥さんはお店のお客様に 「ようこそ、いらっしゃいませ」 「ありがとうございました」 「行ってらっしゃいませ」 の挨拶を気持ちを籠めて元気に声を張り上げていました。
そんな中、営業マンらしき人に対し声高らかに 心を籠めて 「がんばって下さいね」! 私はこの声を聞いたとき、鳥肌が立つと共に涙がこみ上げてきました。 大黒柱がいない今、一番がんばらなきゃいけないのは自身の筈にも係わらず、 この「がんばって下さいね」と言える強さに心が震えました。 まったくもって主人も主人なら、女房も女房だ! どこまで優しく、底抜けに強い夫婦なんだ?
こんな夫婦の下にいるスタッフですから「安心して下さい、社長が戻ってくるまでは皆でお店を守りますから」ただの一人も不平や不満を言う人間がいないのです。 こうなるとまるで浪花節です。 彼らは数年かけてこんな素晴らしい仲間と絆を創って来たんですね。
昔ハーツバーグという学者が、人は「賃金・作業環境・労働条件が悪い場合、それを不満の原因にはするが、それがあったからといって動機付けにはならない」と言っていました。 平たく言うと「多くの人はお金や物だけで動くとは限らないよ」って事だ。
帰りに彼の奥さんは雨の中を駆けてきて深々と頭を下げました。 「ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありません」 その目に涙を一杯ためていました。
世に言う「土壇場になって初めてその人物の本性が見える」と言うならこれは凄い事です。 人はいつでもこんな一生懸命な人達を応援したくなるものです。
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